日本では学校教育が終わると、歯科検診も終わってしまいます。その後、歯のメンテナンスは個人にゆだねられており、20代では歯や口の機能に気を使うことを忘れてしまい、将来オーラルフレイルに進む素地を作ってしまうことが往々にしてあるのです。

そうして40歳、50歳と年を重ねるうち、ないがしろにしてきたお口の機能はどんどん衰えそれが高齢者になった時にオーラルフレイルとして表れ、要介護や寝たきりの原因となってしまうのです。

最近の子どもたちの食生活について懸念されているのが、顎の発達不足の問題です。

現在主に親世代の意識が高まり、子どもがむし歯になりにくくなった一方で、硬いものを食べる機会が減っている子どもの顎が発達しにくく、うまく噛めない子が増えているのです。そうなると生きていくために必要な「噛む力」が衰え、健康な食事ができないリスクがあります。

顎は噛むという上下の動きのみならず、食べ物をすりつぶすための左右の動きができる関節なのです。

ところが、最近の子どもたちは軟らかく食べやすい食べ物ばかりを食べることが多く、あごを左右に動かす筋肉が発達しないのです。

すりつぶす機能が未発達の子どもは、繊維質の多い野菜や赤身肉、鶏ささみ肉などがうまく食べられません。最近給食の食べ残しが多いのは好き嫌いだけでなく、噛み切れないことからだと考えられます。

すりつぶして食べる必要がある食材には食物繊維やビタミン、ミネラルが豊富なものが多く、物がきちんと摂取できないと将来の生活習慣病のリスクが非常に高まり、そして早いうちからオーラルフレイルに陥る危険性が高いのです。

また口呼吸には、免疫力低下や感染症のリスクがあると言われています。舌や唇など、口の中の筋肉の発達を促し、鼻で正しく呼吸するように指導しましょう。下を上あごの前歯の裏側に置くように意識すれば、きちんと口を閉じることが出来るようになります。

お口の機能がうまく使えない子どもは、ストローを使えない場合が多いのでそうしたサインがあったら要注意です。

日本の現代社会において、大勢の家族で食卓を囲む機会は減ってきているかもしれませんが、多世代で食事をすることはとても良いことです。食事の礼儀作法や伝統的な食べ方など、祖父母世代から学ぶことは多いのです。

たとえ同居していなくても、たまには祖父母、親、子が一緒に食卓を囲む機会を持つことが、将来の子どもの為にもなります。「孫が来たから今日はハンバーグ」と、子どもの鉱物ばかりでなく時には季節の野菜やこんにゃく、豆類など硬さや味わいが豊富な和食を囲んでみましょう。そうした「食育」を通し、自身も改めて食事のおいしさ、大切さに気付けるのではないでしょうか。

咀嚼能力やお口周辺の筋肉の衰えなどは、最近の子どもたちと、オーラルフレイルの人に共通することです。一緒に食卓を囲んで歯ごたえのある食べ物にチャレンジしたり、わいわいと会話し、笑いあいながら食事をすることが、心身ともに健康への近道なのです。