オーラルフレイルを進行させず、要介護や寝たきりに進むことをくい止めるにはどうすればいいでしょうか。「口の健康への意識の低下」「口のトラブルの連鎖」「口の機能低下」の段階までは、地域保険事業や医師、歯科医師の介入と日々の努力により、前の段階に戻すことが可能です。しかし、「食べる機能の障害」へ到達してしまうと、介護が必要な状態になり、前の段階に戻すことは難しいでしょう。ですから、自分の状態を自覚し、予防や治療を行って進行しないよう心がける必要があります。ただし、要介護になったとしても、お口の中の健康状態に気を遣うことは、QOL(生活の質)を保つために非常に重要な視点となります。

オーラルフレイルと口腔内機能低下症

オーラルフレイルは、保険診療内で治療することが難しかった領域です。しかし2018年、「口腔機能低下症」が認められ、歯科において診断、治療ができるようになりました。従来、歯科の現場では「痛みをとる」ことや「歯をきちんと並べ方、揃える」ことが治療のゴールと捉えられていました。しかし、「食べ物を噛んで飲み込む」「会話がスムーズにできる」といった口腔機能を重視した考えが少しずつ理解されてきました。口腔機能低下症が診療・治療対象となったことで、歯科医師、看護師、管理栄養士などの医療スタッフがお口の機能に対する認識を新たにし、予防を含めたオーラルフレイルへの対応ができるようになったのです。なお、介護保険、介護予防サービスでは、前述した秋田県南外村での調査などをきっかけに、2006年に口腔機能の向上が、高齢者のQOLのアップはもちろん、介護予防や要介護度の重度化を防ぐことにつながると認識されたのです。実際に、口腔機能を向上させることで低栄養の予防や誤嚥防止、さらに食事や生活を楽しむために役立つことなどが報告されています。

親しい人同士でチェックし合うことが大切

一人暮らしや孤食の人はオーラルフレイルになりやすいとお伝えしてきましたが、お口の機能を向上させるには、家族のみんなで気を付けることがより効果的です。3世代で食事ができることはとても理想的なのです。オーラルフレイルは、高齢者だけの問題ではありません。65歳を過ぎてから衰えに気づいても、長年培った食事習慣や行動を変えるのはなかなか大変です。できれば子どものうちから、将来オーラルフレイルにならないような生活を心がける必要があるのです。