生まれてきた赤ちゃんがむし歯になるのは、おもにお口の中にむし歯菌が感染するからです。なかでも、歯が生えるとむし歯菌に感染しやすくなります。むし歯菌は、ツルツルした硬い物質(歯)の表面で増殖するからです。その結果、歯の表面にいわゆる歯垢(プラーク)がつくようになります。

むし歯菌は、とくに1歳7か月から2歳3か月の時期に集中的に感染しやすく、お子さんの口の中の細菌のバランスも3歳くらいまでに決まるといわれています。つまり、それまでの時期にむし歯菌に感染しなければ、その後、むし歯になるリスクは低くなるのです。

むし歯菌感染の原因になるのは家族、とくにお母さんです。お子さんのむし歯のリスクを考えるとき、お母さんのお口の状態がとても重要になります。そこで、子育て中のお母さんはお口からむし歯菌を減らさなければなりませんが、すでにむし歯や歯周病がある場合、これは急にできることではありません。ですから、お母さんになる前から自分の歯の状態を知り、むし歯や歯周病があればきちんと治療して、定期的にクリーニングを受けておくことがとても大切です。これは、お母さん以外の家族にも当てはまります。お母さんが定期的にメンテナンスを受けていると、お子さんのむし歯になるリスクがそうでない場合の半分になると言われています。成長する赤ちゃんのお口の健康は、家族の健康意識の試金石になります!

妊娠すると歯ぐきが悪くなるって本当?

妊娠すると、すっぱいものが欲しくなるなど、嗜好や味覚が変化しますが、これはホルモンのバランスや唾液の量が変化するためです。そしてこの同じ理由で、歯ぐきに炎症を起こしやすくなります。

妊娠中の女性の歯ぐきの溝からは、エストロゲン(女性ホルモン)を好む特有の細菌が見つかります。その細菌が妊娠性歯肉炎といわれる歯肉の腫れの原因になります。妊娠女性の約4割は「歯肉からの出血、歯肉の腫れ」を自覚しているといわれます。その意味で、妊娠すると歯ぐきが悪くなるという俗説には、科学的根拠があります。もちろん、お口の中をきれいにしておけば、この歯肉炎は防ぐことができます。

☟妊娠中の歯科治療の注意☟

痛みのあるむし歯は、出産という大事業の支障になりかねません。妊娠安定期に治療をしておくべきでしょう。もしも、むし歯が進行するようなことがあれば、血中に細菌が侵入し、胎児に悪影響が及ぶこともあります。

妊娠初期の歯科治療は、麻酔、投薬、エックス線写真撮影などの面で注意すべきことがあります。受診はできるだけ妊娠5か月以降の安定期にしましょう。エックス線撮影は胃の造影検査でも胎児に影響はないとされていますので、歯科のエックス線撮影に神経質になることはありませんが、妊娠の可能性がある場合には必ずエックス線防護用エプロンの着用を求めるべきです。妊娠初期には、エックス線や薬の影響が胎児に及ぶ可能性がありますので、受診の際に必ず、妊娠可能性を伝えることを伝えるべきでしょう。安定期であれば、普通の人の診療と違いはありませんが、治療期間についてよく相談する必要があります。