歯は土の中から球根が芽を出すように、顎の骨の中から入ってきます。植物と違って、歯は歯の周りの骨(歯槽骨)と一緒に伸び出してきます。歯槽骨という骨は歯と一緒に成長し、歯を失うとなくなってしまう骨なのです。骨と一緒に歯茎ができて、浅いお皿のような赤ちゃんの口は深さのある器に成長します。こうして口の容積が一気に増えるのです。

歯茎とくちびるの間に谷間ができ(口腔前提の形成)、舌を突き出さなくなります。生後6カ月ごろまでの赤ちゃんは刺激に対して舌を突き出しますが、これは体に自然に備わった反射です。口の中が深い器になると舌はその深い器を満たします。口腔と言う空洞は舌で満たされるのです。食べ物を口の中でうまく移動させ、喉の奥に送り込むのも舌、複雑な発音を可能にするのも舌です。

もう少し成長すると(ほぼ生後7ヶ月ぐらい)舌は口蓋(上顎)の天井に吸い付く位置で口を閉じてリラックスできるようになります。この舌の位置が、上顎に深い凹みを作ります。赤ちゃんの頭のてっぺんがぷよぷよ柔らかいのと同様に赤ちゃんの上顎の骨は真ん中(口蓋縫合)で離れていて柔らかいのです。

このように舌が口の中でしっかり役割を果たすか、赤ちゃんのように口の外に突き出したままか、だらりと下がったままか、それは食べること、しゃべること、呼吸の仕方、そして顔のかたちにまで大きな影響及ぼします。

手づかみための始まり

食べ物を目で見つけて、そこに手で持っていて指でつまむ。赤ちゃんにとっては何でもない当たり前のことですが、見る、見たところに手を伸ばす、指先で感じながらつまむと言う一連の感覚と動きの連携が成立して可能になります。最初は手のひらでつかみます(6ヶ月頃)。赤ちゃんはこうして感じながら動く、感覚と動きのループを一つ一つ脳の中に獲得していくのです。親指と人差し指でつまむようになると、手の使い方は格段に器用になりますがこれは生後10から12ヶ月頃です。

指先でつまめるようになってから手づかみ食べができるようになるには2ヶ月ほどかかります。手づかみ食べを促すには手を自由に使えるようにすることが大切です。テーブルでも座卓でも肘がつく位の高さの椅子を用意してあげましょう。できれば足がブラブラしない椅子がいいですね。さぁ自分で食べたと親は喜んでいるのも束の間でも届くものは何でも掴んで食べてみると言う手づかみ食べが始まります。