(1)まず、悪くなる原因を知る

歯ならびや噛み合わせが悪い場合、その原因は遺伝、舌やくちびる(口唇)の悪い癖や噛み癖、ひどい虫歯などさまざまです。何らかの先天性的な素因(遺伝)が関係していることも少なくありません。さらに別の要因が加わると、歯ならびや咬み合わせに直接影響したり、舌くちびるの悪い癖の呼び水となったりするので、原因は複雑になります。たとえ舌の癖などがなおっても、悪い歯ならびは簡単になおりません。

舌や口唇の癖、かみ癖などが悪い歯ならびや悪い咬み合わせの原因になっている場合、こうした無意識の癖をなおすことは簡単ではありません。矯正歯科治療では原因療法を重視しますが、なかなか成果はあがりません。そこで矯正器具で歯ならびをなおそうとしますが、原因をそのままにして矯正医療で歯ならびをなおそうとすると、うまく治療が進まないだけではなく、治療が終わってもまた後戻りしてしまうことがあります。悪い歯ならびや悪い咬み合わせの原因を早期に知って、できるだけ原因を解消しておくことが、矯正治療でとても大切です。

(2)成長期の原因療法

乳歯の根がいつまでも吸収されず、乳歯が抜けない場合があります。また、骨の中に埋まった(埋伏歯)が、永久歯の生える邪魔をしていることもあります。さらに、乳歯のむし歯治療が永久歯に悪い影響を与えることもありますし、口唇と歯ぐきの間にある筋のようなもの(上唇小帯)の位置も時々、歯ならびに悪い影響を与えます。このような場合には、乳歯の抜歯やじん帯をメスで切って原因をなくすことを考えます。奥歯のむし歯のために、咬み合わせが崩れてしまうこともあります。とくに永久歯の奥歯がむし歯になると、上下の歯列が深く咬み込んで、咬み合わせが低くなってしまうこともあります。むし歯が歯と歯の間(隣接面)にできると、歯列が乱れてしまいます。このような問題が、右か左の片側に起こった場合、顎がずれて、変形してしまうこともあります。このように奥歯のむし歯は、顔を形や機能に大きな問題を起こす可能性があります。親指を深く口の中に入れる指しゃぶりは、悪い歯ならびの最も明らかな原因です。鉛筆や爪を咬む癖も咬み合わせに悪い影響を与えます。また舌の運動不足、発達不足、舌の癖(舌を咬む、突き出す)や唇の癖(巻き込む、歯で咬む、閉じない)、口呼吸なども、歯ならびや咬み合わせが悪くなる原因になります。

こうした場合、癖を自分で自覚し、唇や舌のトレーニングをすることが主な原因療法になります。口を閉じないお子さんの場合、口が開いていることに気づいたときに、その都度、口を閉じるようにするだけでも効果があります。

どの訓練も効果は地味ですが、お口の機能を改善することは、上手に食べること、上手に喋ることに影響します。そして歯ならびの改善にも繋がるのです。