生後間もない赤ちゃんの口の中に白いつやのある歯のようなものを見つけることがあります。これは歯肉嚢胞(上皮真珠)と呼ばれ、骨の中で乳歯ができるときに生じる殻が排出されているものです。本当の歯が生えてくるのは、もう少し待たなければなりません。下あごに初めて歯が生えているころ(生後6〜8ヵ月)、赤ちゃんは驚くほどの発達を始めます。育児によって大きな違いが生まれる時期でもあります。赤ちゃんが周囲の人をあやつり、動きに回り始めると育児のストレスも大きくなります。いままでは受け身が一方だだた赤ちゃんに、自分の意思が芽生えてきたように感じられます。そして8本の前歯が生えそろうころ、赤ちゃんは立ち上がり、歩くようになり、そして上あごに小さな奥歯が生え始めるころには、「マンマ、ブーブー」とことばらしきものを話し始めます。上にも、8本、下にも8本の歯がそろうころ、ついに初めての反抗期が始まります。乳歯の萌出は、その子ども固有の成長発育を教えてくれる時計のような役割を果たします。

コップで水を飲む
散らかしながらでも食べ物を口にもっていけるようになると、親はコップも使わせたくなります。「コップをじようずに使ってくれたら楽なのに…」。コップの水を飲むためには、手と口の連携動作が必要です。コップを口元に運ぶ、口をすぼめてコップをゆっくりと傾ける、流れてきた水を吸って口に溜める、息をとめて溜めた水をゴックンとのみ込むという一連の動作を学なければなりません。トレーニング次第で、離乳食と同じようにコップを使うことができるようになる子どもが多いのですが、急ぐ必要はありません。口をすぼめて水を口に含むところまで学習するのに、結構な時間がかかります。吸い口のふた付きコップ(ストローカップ)を使うと、コップで水を飲む学習は楽になりますが、これは(水をこぼさずに飲んでもらう)お母さんのための補助具と考えたほうがいいでしょう。1歳6ヵ月くらいになるとコップを使って水を飲めるようになります。口で吸うことができないと、上を向いてコップから流し込むようになります。

歯の先天障害 形成不全症
「生えてきた歯が、きれいじゃない」ーお子さんの乳歯に時々、こうしたことが起こります。普通、歯の表面は、ガラスのように硬く、白く透き通った組織(エナメル質)に覆われています。歯の美しさの秘密は、タイルのような白さではなく、その透明感にありますが、それが損なわれる病気があります。エナメル質やその内側の象牙質が上手に形成されない先天的な病気は、エナメル質けいせいふ、象牙質形成不全症と呼ばれています。エナメル質形成不全症には、①形成不全型、②石灰化不全型、③成熟不全型、④成熟・形成不全型の4種類があります。象牙質形成不全症は3種に分けられ、それぞれ①骨形成不全症にずいはんし髄室のないい球根状の歯冠、②象牙質に限局した髄室のない球根状の歯冠、③象牙質に限局さ貝殻状の歯冠という特徴があります。この二つの形成不全症のうち、より一般的なのはエナメル質形成不全症です。エナメル質形成不全症は遺伝的要因以外に、小児の全身的要因によって起こることがあります。感染症、栄養障害、妊娠時の異常、ホルモンの異常、などがエナメル質欠損につながるのです。エナメル質欠損は、とくに注意すべきむし歯のリスク要因でもあります。症状としては、遺伝的要因では、低形成と透明度の不足が最も多く、その他の場合には、まずエナメル質が欠損した部分が白いまだらになり、あるいは着色します。もっと進行すると、象牙質が剥き出しになって黄色や茶色に見えてきます。エナメル質形成は乳歯より永久歯に多く、全身的要因ちよる場合は複数の乳歯と永久歯に症状が出ますが、その出現は左右対称的です。一方、乳歯の症状が1本だけであれば、永久歯にエナメル質形成不全症が出る心配はほとんどありません。