母乳の大切さは、強調しても強調しすぎることはないでしょう。とくに産後一週間以内の初乳には赤ちゃんを細菌やウイルスから守る抗体成分や貴重な栄養が含まれています。

母乳には、それにも増して大切なことがあります。赤ちゃんは、お母さんのおっぱいから、舌と上あごで乳首をしごくようにしてお乳を吸うのです。母乳は、その刺激によって分泌されます。お母さんにとっても赤ちゃんにとっても、この瞬間以上に心が通い合う経験はないでしょう。

 お母さんの乳房に顔を押し付けて懸命におっぱいを吸う赤ちゃんを見ていると、哺乳瓶の先に付けたゴムの乳首で授乳することは、動物のたくましさが感じられずちょっと心細いのですが、哺乳瓶で育てると発育に弊害生じるという主張には必ずしも根拠があるわけではありません。研究によれば、あごの発育などにも差は出ないとされています。

いろいろな事情で母乳保育がままならないお母さんも、取り立てて心配することはないでしょう。昔の粉ミルクには、赤ちゃんが好むように砂糖を加えていたこともありましたが、今はそういう問題もありません。ただし、哺乳瓶でも、母乳を与えるのと同じように抱き上げて、赤ちゃんが吸わないとミルクが出にくい乳首を使って、ゆっくりと時間をかけて授乳することが大切です。

 授乳の時のポジションも大切で、「60度抱っこ」と言って、抱きかかえる角度を60度くらいにすることで、吸啜力(お乳を吸う力)が必要になり、吸う力を養うことに繋がります。また、お乳を吸う力が弱い赤ちゃんは、哺乳瓶の乳首の形状にも注意を払う必要があります。お乳を吸う力が弱く、飲みが悪い時にはラウンドタイプやカットタイプの乳首を使うことを推奨します。

◎子どもの睡眠姿勢

 生まれて2~3ヵ月は、赤ちゃんの頭の形が気になりますね。片方ばかり向いていると気になるものです。右ばかり向いていると、確かに頭の右側が扁平(へんぺい:ひらたいこと。ひらべったいこと。)になっているので驚かされます。そこで頭が丸くなるような枕を買ってみたり、ベッドの向きを反対にしてみたり…。心配の種は尽きません。じつは、生まれて1ヵ月半くらいまでの赤ちゃんは、上を向いて寝ることはほとんどありません。だいたい右の頬っぺたを布団に付けて、右の腕を横に伸ばし、右足を伸ばす姿勢をとっています(緊張性頸反射)。反対の腕と脚はやや曲げ加減です。頭の向きを自分で変えることはできません。2ヵ月、3ヵ月と経つとだんだん上を向くことができるようになりますが、3ヵ月くらいまでの赤ちゃんは、まだ寝返りはできません。この時期であれば、片方だけを向いて頭が扁平になっていても心配ありません。頭を動かせるようになったら、自然に頭の形はきれいに直ります。頭の形を心配して低反発素材の寝具や柔らかすぎる布団にするのは、頭を動かせるようになったときに、頭を動かしにくいので、赤ちゃんのためによくありません。

 赤ちゃんは生まれたばかりでうつ伏せにされても、硬めの布団であれば、窒息しないくらいに頭を持ち上げる力があります。3ヵ月になると、うつ伏せの姿勢をさせると、頭を持ち上げてあたりを見回すことができるようになります。これは首がすわるようになったことを示しています。赤ちゃんのためには、目の届くところでうつ伏せにしてあげることも必要です。仰向けばかりだと、首がすわるのに少し時間がかかります。