赤ちゃんの喉は喉頭蓋と軟口蓋が接しています。猿と同じで鼻腔から気道までほとんどひと続きです。このため赤ちゃんはおっぱいで口を塞いだままでも鼻だけで楽に呼吸をします。喉頭が高い位置にあるため呼吸をしながらお乳を飲んでもむせることがないのです。参加では生まれたばかりの赤ちゃんを「鼻で呼吸する者」と呼ぶ位なのです。

実は哺乳類で人だけが例外的に口で呼吸のできる動物であり、そのために唯一複雑な言葉を操ることができる動物でもあります。7ヶ月ごろからつかまり立ちができるようになり、1歳の頃に独り立ちができるようになるものですが、体が起き上がると次第に舌骨とともに喉頭が下に降りてきて成長とともに首ができて咽頭腔が広がります。1歳から9歳までに喉頭が下に降りるとともに一息の間に複雑な発音が可能になり喋り言葉が発達します。さらに軟口蓋で鼻腔に呼気が漏れるのを防げるようになると複雑なことも可能になります。

もちろんおしゃべりができるようになるには耳で聞く能力、真似する能力、そして指差しのような指示思考などの総合的な能力の発達を待たなければなりません。ところが複雑な発音ができるようになるとことと引き換えに人の咽頭は危険な構造になってしまいます。食道と気道が交差する関係になるのです。食べ物の移動にタイミングを合わせて鼻腔と喉頭を閉鎖しなければなりません。それなしには食べ物が誤って気道に入ってしまいます。鼻腔と喉頭を閉じて食べ物ごくんと飲み込む技(嚥下)を身に付けなければなりません。

口から食べる事は離乳食の赤ちゃんにとっても大きな冒険です。ごくんと飲み込むためには舌で食べ物を口の奥に送るだけではダメなのです。まず軟口蓋と舌で口腔を閉鎖して食べ物をのどに送ります。次に鼻咽腔と喉頭を閉鎖し、食べ物を咽頭部に運び、ここで一瞬呼吸を止め、その瞬間食べ物ごっくんと食道に送り込みます。

喉頭蓋の倒れ込みと声門閉鎖によって食物が誤って気管に入らないようにしているのです。口から食べるためにはこの連続技を習得しなければなりません。しゃべり言葉と嚥下の獲得は表裏一体の関係にありますが離乳期はその大仕事の時期なのです。